増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❸分娩時・産褥期の緊急対応
臍帯下垂・脱出
関口 和企
1
,
落合 大吾
1
1北里大学病院周産母子成育医療センター周産母子部門産科・MFICU
キーワード:
臍帯下垂
,
臍帯脱出
,
児頭挙上
Keyword:
臍帯下垂
,
臍帯脱出
,
児頭挙上
pp.249-254
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211236
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
遭遇しやすい典型ケース
35歳,2妊1産.前回は41週経腟分娩で児は3,000gだった.今回の妊娠では40週の妊婦健康診査において胎児推定体重が2,500gと,胎児発育不全を指摘されていた.
妊娠41週0日に誘発分娩目的で入院した.入院時の内診所見で児は先進が頭,下降度−3以上,子宮口0cm,展退度0%のため,メトロイリンテル40mLを留置した.翌朝午前9時にメトロイリンテルを抜去し,10時からオキシトシンによる分娩誘発を行った.その間トイレは妊婦自身で歩行してもらっていた.午前11時に自然破水し,下降度−2,子宮口5cmまで進行した.また,破水後より繰り返す軽度変動一過性徐脈を認めた.その後陣痛は増強し,午前12時で下降度−2,子宮口8cmとなったため分娩室まで歩行移動した.移動後に分娩監視装置を装着すると高度な変動一過性徐脈を認め,その直後から胎児の心拍数が60回/分台を持続するようになった.内診をすると臍帯が腟内に触れ,臍帯脱出と診断した.臍帯の用手的還納を行い,妊婦に努責をかけてもらい子宮口が全開大になってから吸引分娩で児を娩出した.急速遂娩の決定から10分程度で娩出するつもりだったが,実際は28分かかった.児はアプガースコア1分値0点,5分値1点であり,重症新生児仮死であった.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.