連載講座 胎盤から学ぶ・2
臍帯血管の異常
相馬 広明
1
Hiroaki Souma
1
1東京医科大学産婦人科
pp.794-795
発行日 1963年10月10日
Published Date 1963/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202903
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臍帯の脱垂とか巻絡等によつて,臍帯血行の障害が起こり,児の生命が脅かされることは,誰しもが,経験していると思う。その他,例えば,私共は,Long Cordといえば1m以上,Short Cordといえば,30cm以下を指しているが,このような臍帯の過度の長短によつて,同じく児に障害が起こりやすいことも周知のことである。また,臍帯の真結節は,約0.5%位に見られるが,必ずしも,死亡児に合併するわけでなく,正常分娩児にも時々見られる。つぎに児の生命には,関係はないが,臍帯の粘液状変性を示す局所的な浮腫(Edema)や,静脈のVaricosity(静脈瘤様腫脹)を示す偽結節は,臍帯を検査しているとしばしば見出される。時に臍帯の局所的な血栓(Thrombosis)や血腫などが,臍帯の過度捻転などと合併して発見されることがある。Javertは,自然流産553例の臍帯のうち,53.7%に異常を認めたというが,その異常とは臍帯欠損,狭窄,浮腫,炎症,長短帯,巻絡,捻転,脱垂,真結節,血管異常等であり,これらの異常は自然流産時に限らず,満期分娩時の臍帯異常をも網羅していると思う。このうち狭窄(Coarctation)を来したのが2.7%,血管の異常を認めたのが2.4%といつているが,Coarctationは,臍帯の随所に起こりうるが,特に胎児附着部附近に起こる頻度が高い。
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