特集 妊娠高血圧症候群2024
臨床編:診断と治療
〈トピックス〉アフェレシス療法
有吉 悠
1
,
入山 高行
1
ARIYOSHI Yu
1
,
IRIYAMA Takayuki
1
1東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
pp.1420-1422
発行日 2024年10月10日
Published Date 2024/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001762
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はじめに
妊娠高血圧症候群は妊娠中に高血圧を呈する疾患の総称であり,そのなかの一病型である妊娠高血圧腎症(preeclampsia:PE)は,全身の臓器障害や胎盤機能障害を伴う重篤な産科合併症である1)。しかしながらPEに対する病態に基づいた治療法は現在のところ存在しておらず,PEが重症化した場合,母体や胎児の生命を守るために,超早産児でも妊娠の終結を図るしかない現状がある。近年,PEの病態の解明が進んでおり,血管内皮増殖因子(VEGF)受容体1の可溶性アイソフォームであるsoluble fms-like tyrosine kinase-1(sFlt-1)が中心的な役割を果たしていることが明らかになってきた。sFlt-1を標的にした治療はPEの病態に即した根本的な治療となる可能性があり,アフェレシス療法が新規治療法の候補として注目されている。
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