特集 周産期(産科)の手術の工夫―筆者はこうしている
妊娠子宮の子宮全摘出・腟上部切断術
望月 琴美
1
,
内田 季之
1
MOCHIZUKI Kotomi
1
,
UCHIDA Toshiyuki
1
1浜松医科大学医学部附属病院周産母子センター
pp.1166-1169
発行日 2024年8月10日
Published Date 2024/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001693
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はじめに
妊娠子宮で子宮摘出を要するのは,癒着胎盤や子宮破裂,産科危機的出血などのケースが考えられる。産科危機的出血の対応は「産科危機的出血への対応指針2022」1)に示されており,定期的にその内容も更新されている。輸血や子宮腔内バルーンタンポナーデのように分娩室でできる処置から,interventional radiology(IVR)のように施設によっては施行困難な処置まである。IVR,子宮圧迫縫合や子宮摘出などの優先順位や施行タイミングは各施設,医師に委ねられており,定まったものはないのが現状である。妊孕能を温存することを希望する患者は多く,子宮摘出は最終手段といえる。産科医師も可能なかぎり,子宮を温存するために対応することから,子宮摘出は優先順位の高い止血手技とはいえないが,その方法や注意点などについては知っておく必要がある。なお,子宮摘出には単純子宮全摘術と子宮腟上部切断術の両者を含んでいる。
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