特集 産婦人科手術のポイント
V.手術手技--婦人科
子宮腟上部切断術
大川 公康
1
1日本医科大
pp.958-959
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205291
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腟上部切断術は子宮頸部の腟上部で切断し子宮体部を切除して子宮頸部を残存する手術である。20数年前までは子宮の良性腫瘍のほとんどすべての例に施行されていた。この術式は容易であつて,副損傷とくに尿管障害を起こすことがないからである。また子宮の一部を残存するということは婦人に対して精神的に慰安感を持たせることになると考えられていた。しかしその後子宮の良性腫瘍に合併する子宮腟部位の異型上皮の発生頻度の高いことが証明され,その頻度は約3〜5%といわれている。また残存する子宮腟部に発生する断端がんの危険もあるとの理由で現在では腟上部切断術は施行されていない。もし行なわれるとすれば次の救急手術の場合である。
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