今月の臨床 女性骨盤底外科手術Up to Date―増加する患者への対応を学ぶ
手術手技のポイントと術後合併症への対応
1.腟式子宮全摘術と腟壁形成術
西 丈則
1
1公立那賀病院産婦人科
pp.359-365
発行日 2013年4月10日
Published Date 2013/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103299
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〈腟式子宮全摘術のポイント〉
●外科解剖を際立たせるHD(hydrodissection)は有用である.HDは注入量が多くなるため,ボスミンの希釈度を上げている.
●頸部輪状切開部の見きわめは,膀胱や直腸損傷回避のため必須である.
●靱帯の無結紮処理は,剪刀の腹でゆっくり切断する.切断された靱帯は後退し子宮血管が浮き出てくる.
〈腟壁形成術のポイント〉
●腟壁剝離時のHDは,層の違いを際立たせる有用な処置である.液体注入量をやや多くしたほうが層剝離は容易となる.
●腟上皮と恥骨頸部筋膜(PCF)間の剝離は繊細な操作が要求される.メス刃や先端が幅広で厚い剪刀は剝離操作に適さない.
●腟尖部(LevelI)支持欠損と前腟壁POPには高い相関が示されている.
●前後腟管上部のSSRにShull法は有用な術式である.
●POP修復術は,強固な支持組織である仙骨子宮靱帯と骨盤底筋の間に腟壁の膜様筋膜(PCF,RVS : LevelII)を張り,連続した構造を再構築することである.
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