特集 周産期(産科)の手術の工夫―筆者はこうしている
帝王切開術
早産の帝王切開術
村越 毅
1
MURAKOSHI Takeshi
1
1聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター産科
pp.1093-1098
発行日 2024年8月10日
Published Date 2024/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001679
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はじめに
早産や胎児発育不全などで,小さな胎児(特に超低出生体重児)を娩出する際には,児がきわめて未熟であるため分娩方法(帝王切開および経腟分娩)にかかわらず娩出時に産道や術者の手などによる圧迫のストレスで容易に低酸素・酸血症や循環不全に陥りやすい。低出生体重児や発育不全児に急速遂娩が必要な場合は鉗子・吸引分娩よりも帝王切開が選択されることが多いが,経腟分娩でも低侵襲でスムースに分娩が終了することもあれば,帝王切開を選択しても娩出に難渋し高侵襲となることもある。そのため,28週未満の超早産児では帝王切開分娩が必ずしも児の予後改善に寄与しないとされている1)。しかし,帝王切開において,児に低侵襲な娩出法を行うことで神経学的後遺症を回避することが可能であり,超低出生体重児に対する帝王切開においては,できるかぎり低侵襲で児を娩出させる特別な技術および配慮が必要である。
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