特集 母子感染の最新知識
各論
細菌,原虫,真菌感染症 クラミジア,淋菌
谷村 憲司
1
TANIMURA Kenji
1
1神戸大学大学院医学研究科外科系講座産科婦人科学分野産科生殖医学部門
pp.622-626
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001562
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はじめに
性器クラミジア感染症と淋菌感染症は,ともに代表的な性感染症(sexually transmitted infections:STI)である。特に性器クラミジア感染症は,世界的にもすべてのSTIのうちで最も頻度が高く,淋菌感染症は,それに並んで頻度が高い。いずれの感染症も,男性には尿道炎や精巣上体炎を,女性には子宮頸管炎や骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)を引き起こす原因となる。さらに,男性では精巣上体炎が男性不妊の原因となり,女性ではPIDのなかでも卵管炎が慢性化すると卵管内腔の狭小化などが起こり卵管妊娠や女性不妊の原因となる。また,妊婦が子宮頸管炎を合併している場合には,絨毛羊膜炎から流・早産を引き起こす危険性や,児に産道感染による新生児結膜炎などを引き起こす危険性がある。特に淋菌性結膜炎による新生児膿漏眼では治療が遅れると短期間で角膜穿孔に至り,失明する恐れもある。
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