特集 「次」につなぐ「周産期医療」―次回妊娠への対策と次世代への影響を考える
染色体異常/形態異常妊娠・分娩の既往のある女性の妊娠
谷垣 伸治
1
,
菊地 茉莉
1
,
石川 美佳
1
,
雪本 めぐみ
1
,
松島 実穂
1
,
田嶋 敦
1
,
小林 陽一
1
TANIGAKI Shinji
1
,
KIKUCHI Mari
1
,
ISHIKAWA Mika
1
,
YUKIMOTO Megumi
1
,
MATSUSHIMA Miho
1
,
TAJIMA Atsushi
1
,
KOBAYASHI Yoichi
1
1杏林大学産科婦人科
pp.413-417
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001502
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はじめに
産科は,「既往歴の学問」である。すなわち,前回の妊娠・分娩時に発症した疾患のなかには,次回妊娠・分娩時も発症する可能性が高いものがある。また,「妊娠は負荷テスト」でもある。妊娠中に疾患を発症した女性は,発症しなかった女性に比し,生活習慣病を早く発症する(図1)1)。さらに,母体の妊娠時から授乳期にかけての環境は,児の成長後の健康や疾病の罹患に大きな影響を与えるdevelopmental origins of health and disease(DOHaD)学説が,多くの疫学および基礎研究から確かめられている。したがって,我々産科医は,既往歴の聴取は何よりもていねいでなければならず,望むべくは同様の疾患を繰り返さないよう周産期管理することが期待される。
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