増刊号 周産期診療のための病態生理
[新生児編]
中枢神経系
全身の炎症性疾患はどのような機序で早産児の中枢神経系の傷害を惹起するのか
板橋 家頭夫
1
ITABASHI Kazuo
1
1愛成会記念茨城福祉医療センター
キーワード:
早産児
,
炎症
,
中枢神経傷害
,
壊死性腸炎
,
腸脳軸
Keyword:
早産児
,
炎症
,
中枢神経傷害
,
壊死性腸炎
,
腸脳軸
pp.339-343
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001311
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未熟児脳症におけるびまん性白質傷害の病理
周産期における中枢神経系の傷害は,4つの臨床場面として大別される。すなわち,①正期産児の新生児脳症(neonatal encephalopathy in term infants),②新生児ストローク(neonatal stroke),③未熟児脳症(encephalopathy of prematurity:EoP),④全身性感染症(systemic infections)である1)。EoPは早産関連合併症に伴い脳の発達が抑制されることが背景で起こり,その後の神経学的異常や発達遅滞,発達障害の原因となりうる。EoPの最も顕著な特徴は白質傷害(white matter injury:WMI)で,GABA作動性介在ニューロンの発達不全などの神経細胞および軸索の欠損を伴う2)。周産期においては,絨毛膜羊膜炎や胎児発育不全,脳虚血,敗血症などに伴う炎症は,WMIを惹起させる主要な要因である1)。
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