MEDICAL SCOPE
基線細変動が持つ意味
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.261
発行日 1995年3月25日
Published Date 1995/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901214
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今月も胎児心拍数図の話です。胎児心拍数図のことをCTG(cardiotocograph)と言いますので,ここでもCTGとして話を進めましょう。
CTGの大切な所見として基線の揺れ,つまり,ギザギザがあり,これを基線細変動(baseline variability)と言います。復習すると,基準胎児心拍数から10〜20bpmの幅で揺れている時が「基線細変動が存在する(ある)」と言う時で,胎児は元気であるとされ,5〜10bpmの揺れになると「減少」と言って,少し元気がなくなったかもしれないと考えます。5bpm以下の揺れになると基線細変動は「消失」と言って,胎児仮死に入ることがわかっています。基線細変動は自律神経系の活動で生じるものなので,この反応がなくなった,つまり,基線細変動が消失したという時は,胎児仮死のうちでも最も重症の場合で,こうなってから胎児を娩出しても予後が悪いことがかなり多いというのが実状です。
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