増刊号 周産期診療のための病態生理
[産科編]
分娩のメカニズム
無痛分娩に必要な病態生理はどこまでわかっているか
角倉 弘行
1
SUMIKURA Hiroyuki
1
1順天堂大学麻酔科学・ペインクリニック講座
キーワード:
無痛分娩
,
CSEA
,
胎児徐脈
Keyword:
無痛分娩
,
CSEA
,
胎児徐脈
pp.110-112
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001252
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分娩痛の機序および解剖学的背景
分娩痛の機序および解剖学的背景はこれまでの研究で概ね解明されている(図1)1)。分娩第1期の痛みは子宮頸部の拡張に伴う内臓痛(図1A,B)1)で,子宮口の開大とともに強くなる。頸管の拡張による侵害受容刺激を伝達する知覚神経は,傍頸管部(paracervical region)から下腹神経叢(hypogastric plexus)を経て,腰部交感神経鎖(lumbar sympathetic chain)を経由してT10からL1の高さで脊髄に入力する。この際に下腹部および腰背部の関連痛を伴う(図2)2)。一方,分娩第2期の痛みの主な原因は,産道の拡張による体性痛(図1C)1)である。会陰部の拡張に伴う体性痛の求心性線維は陰部神経(pudendal nerve)を介してS2からS4の高さで脊髄に入力する。
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