今月の臨床 臨床遺伝学─診療に必要な最新情報
遺伝カウンセリングの実際
3.不育
小澤 伸晃
1
1国立成育医療センター周産期診療部不育診療科
pp.1158-1163
発行日 2007年9月10日
Published Date 2007/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101567
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
反復流産も含めた不育症患者は妊娠女性の約5%に認められ,発症要因の多くは未解決のままである.そのなかで両親の染色体異常は最も因果関係の明確なものであり,夫婦染色体検査は不育症の病因検索として不可欠な検査となっている.一方で,染色体異常に対する根本的な治療は不可能であり,染色体検査を行うこと自体が患者夫婦にとってはしばしばストレスであり,異常が認められた場合はやり場のない精神的苦痛を患者夫婦に強いることになる.また最近では,染色体異常以外にも遺伝子異常・多型,エピジェネティクスなどさまざまな遺伝的要因が流産とかかわっていることも示唆されており,不育症診療においては遺伝的素因の追及と適切な遺伝カウンセリングが今後はさらに重要になると考えられる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.