特集 数値からみる周産期医療 新生児編
内分泌 甲状腺機能亢進症・低下症
白石 淳
1
SHIRAISHI Jun
1
1国立循環器病研究センター小児循環器内科部新生児科
pp.1375-1380
発行日 2023年9月10日
Published Date 2023/9/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001095
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はじめに
甲状腺ホルモンは,胎児期,乳児早期の神経発達に必須のホルモンである。外胚葉(脳神経系)の発生は妊娠3週より始まり,胎児甲状腺が完成するまでの間は,母体の甲状腺ホルモンに依存することとなる。母体のT4は胎盤を通過し,甲状腺ホルモンの需要が増すため妊娠中の甲状腺機能評価の際には,基準値が非妊娠時と異なり,妊娠週数に応じて変化する。妊娠時の甲状腺機能評価には甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)と甲状腺ホルモン(FT4,FT3)値を用い,甲状腺機能低下症に対する補充療法ではTSHを指標,甲状腺機能亢進症の抑制療法ではTSHおよびFT4値を指標に薬剤調整を行う必要がある。妊娠中の母体の甲状腺機能および治療経過を十分に把握したうえで,胎児および出生後の児への影響には細心の注意を払いたい。
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