特集 甲状腺疾患合併妊娠の理解
甲状腺疾患合併妊娠の管理
平出 公仁
1,2
,
鎌田 実
3
,
壬生 正子
1
,
小船 ひろ子
1
1平出クリニック産科婦人科
2信州大学医学部
3諏訪中央病院内科
pp.109-113
発行日 1986年2月25日
Published Date 1986/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206813
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
甲状腺疾患は女性に多くみられ(表1),その好発年齢は20〜40歳代であるため,妊娠時においてその合併症が臨床上問題とされることが多い。
甲状腺疾患は単純性びまん性甲状腺腫と単純性結節性甲状腺腫が多いが(表2),これらは妊娠・分娩および産褥の経過のなかで特に臨床的な影響を及ぼすことがないのが普通で,一般の正常妊婦として扱っても問題はない。また,甲状腺癌は妊娠・分娩が問題とされる例が少ないと考えられるが,未分化癌を除き,甲状腺摘出手術,放射線治療などの適切な治療が行なわれていれば一般的には予後がよいので,妊娠・分娩をつよく望めば差し支えないと考えられる。その際は,甲状腺機能低下があるかどうか厳重にチェックする必要があり,仮りに機能低下があれば一般の甲状腺機能低下症に準じた管理が必要となる。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.