症例
MRSA保菌母体から母児接触により児へ水平伝播をきたした超早産児の1例
藤本 将史
1
,
阿部 真也
1
,
城戸 拓海
1
,
京野 由紀
1
,
吉田 阿寿美
1
,
仲宗根 瑠花
1
,
菅 秀太郎
1
,
芦名 満理子
1
,
藤岡 一路
1
FUJIMOTO Masafumi
1
,
ABE Shinya
1
,
KIDO Takumi
1
,
KYONO Yuki
1
,
YOSHIDA Asumi
1
,
NAKASONE Ruka
1
,
KAN Shutarou
1
,
ASHINA Mariko
1
,
FUJIOKA Kazumchi
1
1神戸大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター小児科
pp.992-995
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000985
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はじめに
新生児,特に低出生体重児は免疫機能が未熟であり,感染症の発症リスクが高い。黄色ブドウ球菌は,カテーテル関連血流感染,術後創部感染,遅発型敗血症など,侵襲性感染症の原因菌となる1)。侵襲性黄色ブドウ球菌感染症の年齢別の発症率は新生児がもっとも高く2),短期予後,長期予後ともに不良である3)。新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)の多くが医療者の手指を介した水平伝播であり,これに対する予防の取り組みは児の生命予後改善のために有益である。また,MRSA保菌が判明することは児の両親にとって心理的な負担となり,それにより医療者への不信感につながるおそれがあるため,MRSA感染対策は良好な患者家族―医療者の関係のためにも有用であると考える。
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