特集 Controversies in perinatology 2023 新生児編
在宅人工呼吸器管理への対応―小児在宅医療に向けて積極的に退院を目指す
金井 雅代
1
KANAI Masayo
1
1埼玉医科大学総合医療センター小児科
pp.121-123
発行日 2023年1月10日
Published Date 2023/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000766
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はじめに
新生児医療の進歩とともに重篤な疾患をもつ新生児が救命されるようになり,その結果,日常生活に医療的ケアが必要な児は増加した。かつて,人工呼吸管理から離脱できない児は,時に学童期にいたるまで入院を継続していることもあった。近年,家族や医療者の思想の変化と在宅医療技術の進歩,地域社会での医療的ケア児支援体制の充実により人工呼吸管理を要する児を含めて医療的ケア児の在宅管理は増加している。NBDデータからみた小児在宅人工呼吸患者は経時的に増加しており(図1)1),加部らの調査2)では,2018年時点で年間約190例程度が呼吸管理を要しながらNICUを退院し,そのうちの67%が自宅退院していると推定された。また,日常生活に人工呼吸器が不可欠でも重度心身障害児ではなく,運動機能や神経学的に良好な予後が期待される児も増加している。このような背景から,医療的ケア児の在宅移行を含め,個々の症例にテーラーメイドの退院計画を家族と作り上げることはNICUスタッフに必要なスキルになっている。2021年に医療的ケア児およびその家族に対する支援に関する法律が施行されたことで,医療的ケア児とその家族が,無理なく豊かに暮らせる時代を迎えることを期待する。
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