特集 在宅における人工呼吸器管理について
特集2
人工呼吸器からの離脱に向けての看護―呼吸機能の低下した頸髄損傷患者に対する呼吸ケア―自宅へ退院を目指して
板井 千栄子
1,2
1労働福祉事業団
2総合せき損センター1病棟
pp.553-557
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902188
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はじめに
当センターは脊髄・脊椎疾患の治療を専門に行なう施設であり,外傷性脊髄損傷患者に対しては,早期離床と早期社会復帰を目標に,患者のQOLを考慮しながら,急性期から慢性期を通し退院に至るまでの治療および看護を行なっている.なかでも,頸髄損傷の患者(以下,頸損と略す)は,四肢麻痺を伴い急性期においては,全身状態の悪化や呼吸不全などの重篤な問題が起きる例がある.一時の生命の危機を脱出した患者は可能な限り人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)を目指し,自発呼吸を促すケアを実施し,環境が整えば自宅へ退院することを目標にしている.今回約半年間かけて,ウィーニングできた一症例を通し,我々の行なっている呼吸管理に関するさまざまなケアの内容を紹介する.
表1に,“脊髄損傷レベルと機能的予後”を示す.しかしこの関連図は絶対的なものではないことを私たちは日々のケアのなかで感じている.実際のケアのなかでは予測を超えて回復をみせる患者を目の当たりにすることがある.関連図をひとつの指標にはしているが,あらゆる患者へ人工呼吸器の離脱の可能性を追及している.
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