Japanese
English
実践報告
緩和ケア病棟における終末期の自覚がない患者の退院支援—積極的対話で真意を把握し在宅へのレールを敷く
Discharge Support for a Patient Unaware of her Terminal Stage in a Palliative Care Unit: Identifying the Needs of the Patient Through Proactive Dialogue and Laying the Foundation for Discharge
野尻 清香
1
,
柄澤 清美
2
,
柳原 清子
3
,
津田 朗子
4
,
斎藤 瑠華
4
,
海道 智美
5
,
土山 和美
5
Sayaka Nojiri
1
,
Kiyomi Karasawa
2
,
Kiyoko Yanagihara
3
,
Akiko Tsuda
4
,
Ruka Saito
4
,
Tomomi Kaido
5
,
Kazumi Tsuchiyama
5
1元小松市民病院緩和ケア病棟
2新潟青陵大学看護学部
3長野県看護大学看護学部
4金沢大学医薬保健研究域保健学系
5小松市民病院緩和ケア病棟
キーワード:
緩和ケア病棟
,
在宅移行支援
,
終末期の自覚がない患者
,
ケアの意味を見つめる事例研究
,
palliative care unit
,
discharge support
,
patient without end-of-life awareness
,
case study method for determining the meaning of care
Keyword:
緩和ケア病棟
,
在宅移行支援
,
終末期の自覚がない患者
,
ケアの意味を見つめる事例研究
,
palliative care unit
,
discharge support
,
patient without end-of-life awareness
,
case study method for determining the meaning of care
pp.353-359
発行日 2021年12月31日
Published Date 2021/12/31
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
I.緒言
近年,緩和ケア病棟でも在宅移行支援がケアの一部として取り組まれている.エンド・オブ・ライフケアを意図する看護師は,緩和ケア病棟がもつ文化的な特徴をふまえたうえで,在宅移行支援を患者と家族と共に挑むチャレンジと捉えている 1)が,それが,患者・家族にとって最期の希望になりえるか,負担や苦痛を与えてしまうのではないかとの葛藤もいだいている 1).
特に,自らの予後を認識していない患者では,死について合意のもとで計画的に在宅移行支援を進めることは困難である.予後告知がなされないことがある現実のなかで 2),看護師は複雑な状況に対峙し,患者・家族と共に意思決定を模索しなければならない.
本研究の目的は,緩和ケア病棟で行われた,率直に死について語り合えないゆえに工夫を要した在宅移行支援の‘技’を明らかにするものであり,終末期の自覚がない患者と在宅療養が念頭になかった家族に関わり,双方に納得をともなう一時退院を果たすことができた一事例を対象とした.困難な状況下でこの結果をもたらした実践を,一事例がもつ文脈性および患者・家族と看護師間のケアリングを排除せずに分析し言語化することで,実践渦中では自覚的ではなかったものの,その場でやり遂げられていた渾身の援助の意図と意味を明らかにしたものである.
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