特集 Controversies in perinatology 2023 新生児編
未熟児網膜症の治療―抗VEGF抗体を使用する
飛彈 麻里子
1
HIDA Mariko
1
1慶應義塾大学医学部小児科
pp.107-109
発行日 2023年1月10日
Published Date 2023/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000762
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
背 景
未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は早産児の神経学的予後を大きく左右する可能性がある合併症である。血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が網膜の無血管領域の細胞から過剰に分泌され,網膜血管が異常増殖する。病的組織の発生が誘導され,その組織が網膜を牽引し,重症例では網膜剝離,失明にいたる場合もある。わが国で出生した超低出生体重児の約30%が治療を要するROPを発症しており1),全国視覚特別支援学校生の視覚障害の原因疾患の17%がROPである2)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.