特集 網膜硝子体診療update
Ⅳ.注目の疾患
3.未熟児網膜症
重症未熟児網膜症に対する抗VEGF抗体併用硝子体手術
佐藤 達彦
1
,
日下 俊次
1
1大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学
pp.298-303
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102506
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治療法の変遷
未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は,未熟な網膜血管を基盤に発症する眼内血管新生病である。大部分の症例は自然寛解するものの,重症例では線維血管増殖を伴い,牽引性網膜剝離を発症して失明に至ることもある。Terry1)による最初の報告以来,半世紀以上経過しているにもかかわらず,未だ病態の詳細なメカニズムは解明されておらず,完全に失明を防止するには至っていない。そればかりか,近年の周産期医療の発達に伴い,より未熟な児でも生存可能となり,今後も症例の増加と重症化が予想される。
未熟児網膜症に対する治療は,網膜無血管領域に対する光凝固が基本であるが,十分な光凝固を施行しても新生血管の活動性が抑制しきれず,網膜剝離を併発する症例も存在する。これらの症例に対しては,輪状締結術や硝子体手術が行われてきたが,その手術成績は決して満足の得られるものではなかった(図1)2~8)。
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