特集 Controversies in perinatology 2023 新生児編
新生児蘇生でPEEPをかけて人工呼吸を行う場合―流量膨張式バッグを使う
杉浦 崇浩
1
SUGIURA Takahiro
1
1豊橋市民病院小児科(新生児)
pp.6-7
発行日 2023年1月10日
Published Date 2023/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000732
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はじめに
出生後の蘇生では肺の拡張と換気のために人工呼吸が実施される。新生児仮死や早産児では,肺のコンプライアンスは低く,また呼吸努力も乏しい傾向にあり,肺は容易に虚脱しうる。呼気終末陽圧(positive end expiratory pressure:PEEP)は気道に概ね5~6cm/H2O程度の圧を呼気終末にかけることにより,肺が虚脱するのを予防する効果が期待される。動物実験ではPEEPにより肺の虚脱が予防され,呼吸機能の改善が示されている1,2)。早産児においてはコンセンサス2020でも早産児におけるPEEPの有用性が認められ,推奨されている3)。一方,正期産児に対し常に一定の圧力を気道にかける持続的気道陽圧(continuous positive airway pressure:CPAP)の使用についてもシステマティックレビューで検討されている。その結果は,2件のランダム化試験で新生児集中治療室(NICU)への入院率の減少が認められるものの,大規模の観察研究では,気胸の増加を認める内容であった。そのため自発呼吸があり,呼吸障害のある正期産児および後期早産児に対し,CPAPの使用を推奨または否定する根拠は不十分としている4)。
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