研究
胎児心拍数図低酸素指数(Hypoxia Index)による脳性小児麻痺の予防
前田 一雄
1
,
宇津 正二
2
MAEDA Kazuo
1
,
UTSU Shoji
2
1鳥取大学名誉教授(産婦人科学)
2聖隷三方原病院産婦人科
pp.1597-1601
発行日 2022年11月10日
Published Date 2022/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000402
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はじめに
胎児心拍数図は広く妊娠分娩時に利用され,心拍数基線徐脈,一過性頻脈(acceleration),心拍数細変動,遅発一過性徐脈(late deceleration:LD)および病的サイナソイダル心拍数が胎児不良転帰発生の指標であり,帝王切開(帝切),早期娩出が行われた。LDは予後不良とされたが1),典型的LD 3回で帝切した児に全く仮死がなく,正常でApgar 9点で不審だった(図1)。しかしLDが50分反復すると,細変動消失して,高度新生児仮死になり,脳障害をきたした(図2)。さらに,徐脈が15分連続出現しなければLDとよばないという熟練者の定義があるので,LDが予後不良なのは,その特異な波形ではなく,徐脈の反復発生が低酸素性障害の原因であったので,数理的判定可能で,かつ一般に利用可能な指標を作成した。
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