特集 見て,聞いて,触って,五感で診る新生児の異常とその対応
吐物の異常
若野 泰宏
1
WAKANO Yasuhiro
1
1豊橋市民病院小児科
pp.1409-1411
発行日 2022年10月10日
Published Date 2022/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000361
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
新生児の嘔吐は日常診療のなかでよく遭遇する症状であり,新生児は生後数日に何回かの少量の嘔吐をすることが多い。新生児は解剖学的に胃が成人と比べて縦型をしており,噴門部の括約筋も弱く機能的にも胃内容が容易に食道さらに口腔へと逆流しやすい。またミルクと同時に多量の空気も飲み込むため,溢乳も起こりやすい。そのため,新生児の嘔吐はある程度は生理的な現象と考えられる1)。しかし腹部膨満が強い,嘔吐が頻回で脱水や体重減少を認める,吐物の性状が血性や胆汁様であるような場合には病的嘔吐であり,緊急手術を要する重篤な疾患の可能性もある。生理的嘔吐と病的嘔吐かどうか,十分に鑑別をしながら診療を行う必要がある。バイタルサインを含めた臨床症状,嘔吐の回数,吐物の量や性状は診断のために重要な徴候となる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.