WIDE SCOPE
白が異常か黒が異常か
工藤 祥
1
1佐賀医科大学放射線科
pp.344
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908411
- 有料閲覧
- 文献概要
白黒をつけるといえば,普通は正邪の決着をつけることであるが,画像診断における白と黒では話がやや違ってくる.X線写真,CT,MRI,超音波,核医学などの画像はごく少数のカラー表示例を除き,いずれもが白,黒,あるいは中間のグレーの入り交じった模様である.ここで初学者が迷うのは,白いところが病変なのか,黒いところが病変なのかというところである.
私が学生のころ,臨床講義で胃癌の造影X線写真が呈示された.画像の中心部に隆起性病変と潰瘍の両方があり,そこに向かって粘膜ひだの集中像があるということであったが,私にはいったいどれが隆起でどれが潰瘍なのか,どれが粘膜ひだでどれが粘膜の間隙なのかさっぱりわからなかった.教科書で調べると,白いのはバリウムによりX線が遮られたところであり,黒いのはバリウムがはじかれたところらしいということがわかったが,別の教科書をみると白黒反転した画像が使われており,いっそう混乱してきた.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.