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母親が多胎育児で困ることと期待する支援
多胎育児のサポートを考える会が「多胎児家庭の育児の困りごとに関するアンケート調査」を実施した1)。それによると多胎育児中に養育者が困ったこととして回答した項目は多い順に「外出・移動が困難>養育者の睡眠不足・体調不良>自分の時間がない>大変さが周囲に理解されない」であった。それを受けて「どのような支援があればよいか」という質問に対しては,「家事育児の人手」が約7割でもっとも多く,「金銭的援助や子どもを預ける場所」が約5割で,「同じ立場の人との交流」は約4割であった。こうした家族の要望に応えるためには自治体が主導して両親学級や育児学級などを実施することが望ましいが,実際に自治体が実施している両親学級や育児学級はまだまだ少ない2)。こうした学級で,父親・パートナーに行った内容のうちとくに好評だったのは,「おふろの入れ方」がもっとも多く,ついで「父親の妊婦体験ジャケットの着用」であった。そのほかに好評であった具体的な内容は,講義形式の場合は「産後の届け出制度や予防接種など」,「産後に必要な物品」,「赤ちゃんの感染症予防やスキンケア」,「母親のストレスマネジメント」,「夫婦協力」,「家族計画」,「親の心構え」,「上の子どもとのかかわり方」,「妊娠から出産までの流れとトラブル」,「調理実習」,「経済的支援制度」,「施設紹介」などであった。演習形式の場合は,「調理実習」,「遊び方・絵本の紹介」,「触れ合い方講座」,「施設見学」,「骨盤の動かし方」,「参加者同士の交流」,「子育て経験のある父母の講話」,「父親の役割」,「マタニティヨガ」などであった2)。読者の皆さんが両親学級を開催するときは参考にしていただければと思う。とくに「多胎育児の経験者からの講話」はぜひ早めのプログラムに組み込んでいただけると,多胎家族が両親学級に参加する動機を深めることが期待されると思う。
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