特集 多胎児と家族への支援に取り組もう
多胎児の基礎知識
品胎児(三つ子)の予後
与田 仁志
1
YODA Hitoshi
1
1東邦大学医学部新生児学講座
pp.1248-1252
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000314
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
近年の生殖補助医療技術の進歩と普及に伴い,多胎児の出生は年々増加傾向にあるなかで,急性期の管理は周産期医療においても専門性が高く,瞬時にして多大なマンパワーを要求される。とくに品胎以上のsupertwinについてはそのベッド占有率も無視できないのが現状である。そのため東京都では,総合および地域周産期センターで共有する診療能力情報の一つに品胎の登録制度があり,各施設の品胎の分娩切迫の状況も報告されるシステムとなっている。これにより,施設間で極端な偏りが生じないよう,品胎例の保有に制限をかける意識も共有している。そのような背景をもとに,本稿では品胎の新生児予後についての報告を国内外に見いだし,産科管理や出生後の合併症,さらには発達予後についても把握したい。とくに新生児予後に影響を及ぼす因子を中心とする検討を行うこととした。予想される項目としては,① 早産児や低出生体重児の発生率など未熟性の問題,② 品胎の膜性診断による違い,③ 妊娠成立による違い(自然妊娠か不妊治療か)などが挙げられるであろう。また,品胎を告知された両親にとっては妊娠経過でのリスクだけでなく,出生後の新生児の予後についても関心事であるので家族の立場からも考察したい。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.