特集 多胎児と家族への支援に取り組もう
多胎妊娠の基礎知識
不妊治療と多胎
齊藤 和毅
1
,
齊藤 英和
2
SAITO Kazuki
1
,
SAITO Hidekazu
2
1東京医科歯科大学大学院茨城県小児周産期地域医療学講座
2梅ヶ丘産婦人科
pp.1207-1210
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000305
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はじめに
近年のライフスタイルの変化を背景に,わが国では晩婚化と晩産化が年々進んでいる。厚生労働省の統計によると,第一子出産時の母親の年齢は1985年には26.7歳であったのに対して,2000年には28.0歳,2010年には29.9歳,2015年には30.7歳と上昇した1)。2015年以降は男女ともに大きな変化はなく,2018年時点で女性30.7歳,男性32.8歳となっている。このように挙児を希望する時期が遅延することは,潜在的な不妊症患者の数を増加させる。その理由の一つとして,子宮筋腫や子宮内膜症などの女性疾患は年齢が上昇するにつれて増悪する。さらに,年齢上昇とともに卵子の数は減り,染色体の数的異常を伴う卵子の割合は増える。とくに35歳以降でこの傾向は顕著となるため,第一子を自然妊娠した場合でも,第二子,第三子ではより妊娠しづらくなる。
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