特集 数値からみる周産期医療 産科編
多胎
村越 毅
1
MURAKOSHI Takeshi
1
1聖隷浜松病院産婦人科・総合周産期母子医療センター
pp.1220-1224
発行日 2023年8月10日
Published Date 2023/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001053
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膜性診断別の双胎周産期予後
多胎妊娠の管理では,膜性診断によって周産期予後が非常に異なることが知られている。周産期死亡率は1絨毛膜2羊膜(MD)双胎で4.4~7.5%であり,2絨毛膜2羊膜(DD)双胎の1.7~1.8%に比較して3~4倍に増加する。さらに神経学的後遺症もMD双胎(5.5~16.4%)はDD双胎(1.7~2.4%)の3~9倍のリスクとなることが知られている1~3)。MD双胎において周産期死亡率や神経学的後遺症が多いのは,双胎間輸血症候群(twin-twin transfusion syndrome:TTTS),一児発育遅延(selective intrauterine growth restriction/fetal growth restriction:sIUGR/FGR),双胎貧血多血症(twin anemia polycythemia sequence:TAPS),一児死亡に伴う生存児の急性虚血,および無心体双胎など共通胎盤の吻合血管に起因する特徴的な疾患群(合併症)が存在するためと考えられる。これらを合計するとMD双胎の20~25%程度がハイリスクMD双胎となる(表1)。また,1絨毛膜1羊膜(MM)双胎では臍帯相互巻絡による胎児突然死が起こる可能性があり,よりハイリスクである。MM双胎の周産期死亡率は,従来40~60%ときわめて不良であったが,周産期管理の進歩により近年は10~20%前後まで改善してきている4~6)。
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