今月の臨床 不妊治療と多胎妊娠
本邦における多胎妊娠の推移
齊藤 英和
1
1国立成育医療センター・周産期診療部・不妊診療科
pp.242-245
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101683
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はじめに
本邦においても生殖補助医療(ART)の進歩に伴い,医原性の多胎妊娠が増加してきた.しかし,多胎妊娠は単胎妊娠に比較しリスクが高いといわれている.母体では,切迫流産・早産になりやすく,このため,長期の入院を要する場合もある.また,妊娠中毒症,微弱陣痛,弛緩出血,感染を合併することが多く,母体死亡率も単胎分娩に比してやや高い.胎児では,早産未熟児や低出生体重児が多く,長期入院の必要がある.双胎間輸血症候群(twin to twin transfusion syndrome)の発生は多胎妊娠の予後を悪くする要因の1つである.さらに,未熟性による障害を残すことや,周産期死亡率も,2005年が4.8(/1,000)と年々減少傾向にあるが,過去の複数年間の平均で比較すると単胎に比較し双胎は約6倍,品胎は約12倍と胎児数が多いほど周産期死亡率も高くなる(図1).
本稿では,本邦における多胎妊娠の推移を考察する.
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