特集 見て,聞いて,触って,身体所見から考える妊産褥婦の異常とその対応
皮膚に水膨れができた(妊娠性疱疹)
平岩 朋子
1
,
山本 俊幸
1
HIRAIWA Tomoko
1
,
YAMAMOTO Toshiyuki
1
1福島県立医科大学附属病院皮膚科
pp.1119-1122
発行日 2022年8月10日
Published Date 2022/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000278
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はじめに
妊娠性疱疹(pemphigoid gestationis:PG)とは,妊娠の経過中に発症する強いかゆみ(瘙痒)と水疱を伴うまれな自己免疫性水疱症で,herpes gesrarionis(HG)と表現されることもある。PGは,胞状奇胎や絨毛上皮腫に伴って発症することや,産褥期に発症することもあるが,多くは妊娠中期から後期に発症する。皮疹は蕁麻疹様の紅斑から始まり,そこに緊満性水疱を形成する。発症頻度は報告により差があるが,概ね妊娠1万回に対して1例程度とまれ1)であり,発症機序は未だ明らかでない。病理組織像では,表皮下水疱と好酸球浸潤を認め,蛍光抗体直接法で表皮基底膜部へのC3あるいはIgGの沈着を認める。とくにC3においては90%以上が陽性となり2),IgGは陰性のこともある3)。
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