特集 見て,聞いて,触って,身体所見から考える妊産褥婦の異常とその対応
頭痛がする―脳疾患の鑑別アプローチ
竹田 純
1
TAKEDA Jun
1
1順天堂大学産婦人科学講座
pp.1053-1055
発行日 2022年8月10日
Published Date 2022/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000261
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はじめに
毎年報告されているThe Global Burden of Disease(GBD)の研究によると,頭痛は世界的に主要な公衆衛生上の懸念の一つとされており1),2019年の発表(GBD2019)によると片頭痛は50歳未満の女性ではもっとも頻度の高い健康障害の原因であった2)。頭痛の原因の多くは一次性頭痛であり,そのほとんどが片頭痛か緊張性頭痛である。しかし妊娠中の症状は一定ではなく,前徴のない片頭痛から前徴のある片頭痛や緊張型頭痛へ変化またはその逆へ変化することが知られている3)。このように頭痛は,妊婦健診中においてももっとも多く遭遇するマイナートラブルであり,多くの場合は対症療法で解決するが,まれに重篤な基礎疾患を有する場合もあり,一次性頭痛(痛みそのものが病気である場合)と二次性頭痛(痛みが別の病気の症状である場合)を区別することが重要である。本稿では妊娠中に遭遇する頭痛のなかから比較的頻度の高いものや見逃してはならない疾患に焦点を当てて述べる。
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