特集 周産期と最先端サイエンス
境界領域:先天性疾患・遺伝性疾患への挑戦
Turner症候群の妊孕性温存
髙井 泰
1
TAKAI Yasushi
1
1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
pp.979-983
発行日 2022年7月10日
Published Date 2022/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000240
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はじめに
Turner症候群(TS)は,女児約2,000人に1人出生し,標準的な女性の2本のX染色体のうち1本の短腕の欠失がその本態である。染色体核型の基本型は45,Xのモノソミー型であるが,しばしばモザイク型や構造異常を示す。高ゴナドトロピン性卵巣機能低下症を呈し,原発性または続発性無月経による不妊症となることが多いが,2~7%で自然妊娠することもある。卵巣機能不全以外では低身長を呈することがほとんどであり,そのほかに耐糖能異常などの内分泌疾患,大動脈二尖弁・大動脈縮窄症などの先天性心疾患や高血圧・大動脈拡張・大動脈解離・冠動脈疾患などの後天性心血管疾患,1型糖尿病や炎症性腸疾患など種々の自己免疫疾患,小顎症・翼状頸・外反肘などの身体的特徴がみられる。知的障害はみられないが,特定の領域の学習障害や心理・行動上の問題をもつことがある1)。
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