特集 生殖補助医療の進歩と周産期医療
産科の立場から
脳性麻痺からみたARTの影響
長谷川 潤一
1
HASEGAWA Junichi
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学
pp.391-394
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000090
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はじめに
脳性麻痺の病因については不明な場合が少なくないが,知られている原因として出生前後の低酸素などによる脳の障害がある。とくに分娩中の低酸素については,胎盤や臍帯異常に関連することが少なくない。生殖補助医療(ART)妊娠が直接脳性麻痺など,児の神経学的予後を左右することはないが,ART妊娠と胎盤・臍帯異常との関連は指摘されている。このようなことから,ART妊娠では,胎盤・臍帯異常に関連した胎児発育不全による妊娠中の慢性的な低酸素状態などが脳性麻痺に関連する可能性があることや,胎盤・臍帯異常に伴った子宮胎盤循環不全による急性の低酸素に関する脳性麻痺の可能性がある。
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