特集 産科医療補償制度15年でみえてきたもの―脳性麻痺の原因分析と再発防止策
各論
脳性麻痺の原因と再発防止 2.産科疾患 妊娠高血圧症候群
長谷川 潤一
1
HASEGAWA Junichi
1
1聖マリアンナ医科大学・大学院周産期発生病態解明学分野
pp.104-109
発行日 2024年1月10日
Published Date 2024/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001411
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
妊娠高血圧症候群は重症化により,凝固線溶系の異常,肝機能障害,呼吸循環障害および中枢神経系の異常を含めて,重篤な多臓器障害と関連する。妊娠高血圧症候群に合併する代表的な関連疾患として,常位胎盤早期剝離,HELLP症候群,子癇,脳出血などの脳血管障害,肺水腫,胎児発育不全,胎児機能不全などがある。病態は不明な点も少なくないが,妊娠初期からの胎盤の形成に問題があり,全身の血管透過性の亢進や微小血管障害などが妊娠高血圧症候群,さまざまな合併症の発症に関与していると考えられている。産科医療補償制度の再発防止に関する報告書・提言のうち,「第5回産科医療補償制度 再発防止に関する報告書」1)のなかでテーマに沿った分析として妊娠高血圧症候群が取り上げられている。本稿では,その分析対象事例の報告についてまとめ,妊娠高血圧症候群の母体より出生した児の脳性麻痺の原因,再発防止のうえで注意すべき点について述べる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.