今月の臨床 ARTの周産期予後への影響
エコチル調査からみたARTが周産期予後にもたらす影響
永田 知映
1,2,3
1東京慈恵会医科大学産婦人科学講座
2国立成育医療研究センター病院教育研修センター
3国立成育医療研究センター研究所政策科学研究部
キーワード:
エコチル調査
,
生殖補助医療
,
周産期予後
Keyword:
エコチル調査
,
生殖補助医療
,
周産期予後
pp.482-487
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698650790060482
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●「子どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査)は,国家規模の疫学調査(出生コホート調査)であり,エコチル調査のデータを用いたARTに関する研究成果が,これまでに複数報告されている.
●エコチル調査のデータを用いたARTと周産期予後に関する研究では,自然妊娠と比較して,ARTによる妊娠では周産期合併症(前置胎盤,癒着胎盤,帝王切開,輸血,母体の集中治療室への入室,早産)のリスクが高いことが示唆された.
●一方,観察研究という限界もあり,その背景にあるメカニズムについては明らかになっているとはいえない.臨床データを用いた精緻な研究,大型コホート研究の拡充,各種レジストリデータのリンケージ,そしてデジタル医療情報の利活用により,本領域での研究が加速することを期待したい.

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