特集 生殖補助医療の進歩と周産期医療
生殖補助医療(ART)の立場から
日本のARTの現状
片桐 由起子
1
KATAGIRI Yukiko
1
1東邦大学医学部産科婦人科学講座
pp.297-300
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000071
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はじめに
1983年に日本で初めて体外受精(in vitro fertilization:IVF)による児が誕生したが,1986年に日本産科婦人科学会により,日本の生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)登録システムが開始され,2007年にはオンライン登録が導入された。これにより,日本国内のART施設で実施されたすべてのART治療サイクルの情報が収集できるようになっている。増加し続けてきたART周期数は近年プラトーに達し,最新報告である2019年は2018年より微減した。しかし出生数は増加しており,さらに日本の出生率は1980年代から低下しているため,日本全体の出生率に対するARTによる出生割合も上昇し,2019年では,日本の出生数864,000人に対して,ARTにより出生した児は60,598人で,出生全体の7%,約14人に1人の割合を呈している1,2)。生殖補助技術をモニタリングする国際委員会(The International Committee Monitoring Assisted Reproductive Technologies:ICMART)の2016年の報告によると,日本の年間の治療実施周期総数は,世界第2位である(表1)3)。本稿では,日本産科婦人科学会からの最新報告にあたる2019年のデータ1,2)をもって,日本のARTの現状を報告する。また,これまで自費診療として実施されてきたARTであるが,2022年4月より保険診療として実施されることとなった現状についても報告する。
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