特集 母体救急医療・母体救命の進歩
総論
母体救命救急搬送システムの現状と問題点 大阪府
金川 武司
1
KANAGAWA Takeshi
1
1大阪府立病院機構大阪母子医療センター産科
pp.218-222
発行日 2022年2月10日
Published Date 2022/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000050
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はじめに
大阪府では,1987年に大阪産婦人科診療相互援助システム(Obstetrical Gynecological Mutual Co-operative System:OGCS)が発足し,30年以上にわたって母体搬送システムとして稼働してきた。さらに,2010年から「最重症合併症妊産婦受入体制」を開始した。これは,2006年に奈良県で発生した脳出血により死亡にいたった妊産婦の搬送事案が発生したことを受け,2009年8月に国から新たに策定する周産期医療体制整備計画において「産科合併症以外の合併症を有する母体への救急医療等において,診療科間の連携体制」について検討を進めることなどが示されたことに始まる。大阪府においては,産科救急合併症だけでなく,産科合併症以外の合併症を有する母体の救命を念頭におき,重篤な状態にある妊産婦を速やかに適切な高次医療機関へ搬送するための周産期医療と救命救急医療の連携体制について,受け入れ医療機関に協力を求め,「最重症合併症妊産婦受入体制」を開始した。本稿では,大阪府における母体救命救急搬送システムについて述べる。
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