特集 難聴の疑問に答える
【難聴疾患とその治療】
中毒性難聴にはどのような種類があるか? その治療法は?
河口 倫太郎
1
,
堀 龍介
1
Rintaro Kawaguchi
1
,
Ryusuke Hori
1
1産業医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
キーワード:
内耳障害
,
アミノグリコシド系抗菌薬
,
ループ利尿薬
Keyword:
内耳障害
,
アミノグリコシド系抗菌薬
,
ループ利尿薬
pp.1136-1139
発行日 2026年9月1日
Published Date 2026/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000002319
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はじめに
中毒性難聴(薬剤性難聴)は,薬剤や化学物質により内耳が障害され,聴力低下や耳鳴などの症状を呈する疾患である。多くは感音難聴として発症し,薬剤によっては前庭障害を合併してめまい・平衡障害をきたす。臨床現場では,感染症に対する治療やがん化学療法など生命予後に直結する治療の過程で発生しうるため,耳鼻咽喉科医のみならず,診療に関与する多くの職種・複数の診療科間での認識が重要となる。薬剤性難聴は,薬剤の種類によって経過が大きく異なる。例えばループ利尿薬やアスピリンなどのサリチル酸製剤は可逆性の難聴をきたす一方,アミノグリコシド系抗菌薬や白金製剤では不可逆性の聴覚障害1)となり,患者のQOLを大きく損なう場合がある。また全身投与される場合には両側性の難聴となる。特に高音域の聴覚障害は初期に自覚されにくく,治療が継続されることで障害が進行し,会話域に及んだ段階で初めて問題として顕在化することが少なくない。また,耳鳴のみが先行する場合や,前庭症状が主体となる場合もあり,典型的な難聴像に限定して捉えると見逃しかねない。薬剤性難聴は,治療の中止や変更が困難な状況で出現することも多く,診療科間の連携ならびに患者への十分な説明,モニタリング体制の整備が不可欠である。本稿では,薬剤性難聴の病態生理,原因薬剤,臨床像,診断,予防と対応について概説し,日常診療における実践的な視点を整理する。

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