特集 ここまでわかった 嗅覚・味覚とその障害
【嗅覚・味覚研究の進歩】
“おいしさの文法”を探る─知覚心理学の視点から─
和田 有史
1
Yuji Wada
1
1立命館大学食マネジメント学部多感覚・認知デザイン研究室
キーワード:
味覚
,
多感覚統合
,
後鼻腔経路嗅覚
,
発達
,
ゲシュタルト
Keyword:
味覚
,
多感覚統合
,
後鼻腔経路嗅覚
,
発達
,
ゲシュタルト
pp.24-26
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001947
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はじめに
知覚心理学者であるGaetano Kanizsaが著した「Organization in Vision:Essays on Gestalt Perception」の邦訳,「視覚の文法:ゲシュタルト知覚論」が1985年に刊行された1)。Kanizsaは主観的輪郭という錯視現象を美しく示した知覚心理学者であり,画家であった。主観的輪郭は実際には輪郭線がないのに,周囲の手がかりから補完して形成される錯覚のことを指す(図1)2)。錯視図形を用いて視覚の原理を探る知覚心理学の重要な古典の1つだ。邦題の“文法”というのがいい。例えば,be動詞と主語を倒置するだけで疑問文になってしまうように,同じ要素でもその配置などで知覚は劇的に変化する。全体の知覚は単なる部分の総和とは異なる性質があり,それを形成する背後にあるルールを文法に例えているのだろう。

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