特集 今と将来を見据えた小児整形外科理学療法
小児整形外科理学療法における大事な視点は何か
押木 利英子
1
Rieko Oshiki
1
1新潟リハビリテーション大学
キーワード:
小児理学療法
,
療育
,
発達
,
フォローアップ
,
多職種連携
Keyword:
小児理学療法
,
療育
,
発達
,
フォローアップ
,
多職種連携
pp.1057-1062
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201710
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はじめに
小児整形外科の代表的な対象疾患として,先天性股関節脱臼(以下,先股脱),先天性内反足(以下,内反足),先天性筋性斜頸(以下,筋性斜頸)などがあるが,近年,これらの先天性疾患は予防の啓発が広まり発症も少なくなり,手術適応になる症例は顕著に減少している.また,ペルテス病は装具療法や学習環境の整備などにより外来治療が主体となってきている.分娩麻痺は周産期医療の進歩により,出産時のトラブルが回避され発症は激減した.また,1960年代に大流行したポリオは生ワクチン投与により世界規模での予防が可能となり,現在,新しいポリオ罹患はゼロとされている.
小児整形外科では上記のような経緯をたどってきているが,代表的な疾患以外にも,先天性または後天性の原因による筋疾患,骨系統疾患,神経疾患など多くの疾患を対象にしており,それらに対して薬物療法や運動療法,手術的治療が行われる.特に,手術的治療の術後においては専門的なリハビリテーションが不可欠であり,そこで必要十分なリハビリテーションを行い,早期に機能獲得するために理学療法士の果たす役割は大きい.
リハビリテーションを必要とする小児整形外科疾患の治療方法は医学の急速な進歩や社会の変化により,上記のように時代とともに少しずつ変化してきた.現在主流の小児整形外科理学療法については次稿以降に譲ることとし,本稿では療育における小児整形外科理学療法の役割と意義を確認するため,筆者の経験に基づいて療育における小児理学療法のこれまでの経緯をまとめた.そして,成人とは異なる小児整形外科理学療法における留意点を列挙し,今後の展望としたい.
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