特集 花粉症の疑問に答える
【疫学】
現在のスギ,ヒノキの分類体系は?
三宅 尚
1
Nao Miyake
1
1高知大学理工学部生物科学科
キーワード:
花粉症
,
旧スギ科
,
ヒノキ科
,
分子系統分類体系
Keyword:
花粉症
,
旧スギ科
,
ヒノキ科
,
分子系統分類体系
pp.1005-1007
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001743
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はじめに
この数十年の間に,分子形質(DNAの塩基配列情報)に基づく系統解析が急速に進み,植物の分類体系が大きく変化してきた。“APG分類体系”という語を耳にした方もいると思う。APG分類体系とは,被子植物系統研究グループ(Angiosperm Phylogeny Group:APG)により発表された,分子系統に基づく被子植物の新しい分類体系である1)。被子植物ほど,分類単位の1つである“科”の枠組みに大きな変更はないが,裸子植物の分子系統分類体系も発表されている。旧スギ科と従来(狭義)のヒノキ科は葉の形や付き方が異なるが,形態的な類縁が以前より指摘されていた。分子系統解析の結果,旧スギ科の大部分はヒノキ科に統合された。

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