特集 感覚器のリハビリテーション
味覚障害のリハビリテーション診療
耳鼻咽喉科の立場から
任 智美
1
Tomomi Nin
1
1兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
キーワード:
リハビリテーション
,
味覚障害
,
中枢機能異常
,
濾紙ディスク法
Keyword:
リハビリテーション
,
味覚障害
,
中枢機能異常
,
濾紙ディスク法
pp.688-690
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001631
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はじめに
狭義の味覚とは甘味,塩味,酸味,苦味,うま味,脂肪味の基本6味で構成されている。摂取した食物は咀嚼され,味物質が唾液に溶解し味細胞に発現する味覚受容体と結合する。さらに末梢神経を通り,各味覚情報は孤束核に収束し,視床を経て島皮質(第1次味覚野)に,さらにそこから眼窩前頭皮質(第2次味覚野)に投射する。大脳皮質野からの情報は扁桃体に,さらに視床下部に送られる。扁桃体は嗜好の評価,情動的反応の発現,脳内物質の放出の誘導,また視床下部は食行動とそれに伴う感情表出を支配している1)。これらの経路のどこかに異常があると味覚異常がおきる。現時点では味覚障害の治療としてリハビリテーションやトレーニングの有用性に関する知見はほとんどみられない。

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