連載 わたしの研究歴
私の聴覚研究
欠畑 誠治
1
Seiji Kakehata
1
1太田総合病院中耳内視鏡手術センター
キーワード:
感音難聴
,
内耳研究
Keyword:
感音難聴
,
内耳研究
pp.605-610
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001602
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はじめに
難聴は現在大きな社会問題となっている認知症の,回避することができる最大のリスク因子である(Livingsotn G, et al:Lancet 396:413-446, 2020)。WHOから発表された2021年のファクトシートによると,2050年には世界人口のおよそ10人に1人にあたる7億人以上が障害を伴う難聴になると推定され,その経済的損失は年間9,800億ドル(約147兆円)と試算されている。感音難聴は極めて罹患率の高い疾患で,難聴のうちでもっとも大きな割合を占める。一方,一度低下した内耳機能を改善する根本的な治療法は現在まで存在しないため,感音難聴に対する治療法の模索が世界中で行われている。

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