ステロイド

はじめに

　1940年代の発見以来，ステロイドはさまざまな炎症性および自己免疫疾患の治療において最も広く使用され，効果的な治療法の1つとなっている。副腎皮質で生成される天然のステロイドホルモンの合成類似体であり，グルココルチコイド，ミネラルコルチコイドの特性を持つ。ミネラルコルチコイドは腎尿細管の上皮細胞におけるイオン輸送に影響を与え，電解質や水分のバランスを調節するとされ，グルココルチコイドは主に炭水化物，脂質，タンパク質代謝に関与し，抗炎症作用，免疫抑制作用，抗増殖作用，および血管収縮作用を発揮するとされる。免疫系や代謝，電解質バランスなど多くの生理的プロセスに関与しており，体内の炎症を抑える効果があると同時に，多彩な副作用を生じることが知られている^1）。