特集 感覚器のリハビリテーション
平衡障害のリハビリテーション診療
その概念とわが国における前庭リハビリテーション診療の歴史
青木 光広
1
Mitsuhiro Aoki
1
1大垣徳洲会病院耳鼻咽喉科頭頸部外科,めまい難聴センター
キーワード:
リハビリテーション
,
めまい
,
平衡障害
,
前庭リハビリテーション
Keyword:
リハビリテーション
,
めまい
,
平衡障害
,
前庭リハビリテーション
pp.658-660
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001622
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平衡障害のリハビリテーション診療の概念
前庭神経炎などにより一側の前庭障害が生じると外側半規管の前庭眼反射ゲインは患側のみならず健側も減弱するが,静的前庭代償により健側のゲインは速やかに正常化する。動的前庭代償により患側前庭神経核の反応性の改善はみられる一方,患側の前庭眼反射ゲインの回復は限定的である。患側の前庭眼反射ゲインが回復しない場合でも残存している他の感覚入力や新たに獲得した行動特性を利用して置換あるいは代用されていく。すなわち,低下した前庭情報を体性感覚情報で代行することにより,身体制御における感覚情報の重み付けの変化が誘導され,自覚的前庭症状は軽快していく1)。

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