特集 高齢者の疑問にどう答えるか
喉頭・気管・嚥下領域
食事ではむせないのですが,苦しいことがあります。どうしたらいいのでしょうか?
熊井 良彦
1
Yoshihiko Kumai
1
1長崎大学耳鼻咽喉科頭頸部外科
キーワード:
高齢者
,
嚥下性無呼吸
,
不顕性誤嚥
,
息こらえ嚥下
Keyword:
高齢者
,
嚥下性無呼吸
,
不顕性誤嚥
,
息こらえ嚥下
pp.1137-1138
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000765
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はじめに
一般的に高齢者はわずかな誤嚥が重篤な肺炎や呼吸器疾患につながりやすい。高齢者の嚥下性肺炎の多くは不顕性誤嚥であり,さらには,呼吸器疾患において不顕性誤嚥の占める割合は高く,65歳以上の高齢者に生じる肺炎の約1/3を占める1)。嚥下性肺炎の危険因子には,加齢性の呼吸パターンの悪化に伴う嚥下機能の低下も含まれる2)。つまり嚥下は呼吸運動と緊密に連関しているため,予防策として,食事の際の呼吸法が重要である。したがって高齢者および呼吸器疾患の患者は,より嚥下性肺炎を発症しやすい状態といえる。このような背景を念頭に本稿の現象を考える必要がある。
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