特集 高齢者の疑問にどう答えるか
口腔・咽頭・食道領域
睡眠時無呼吸を治す方法がありますか?
小林 祐太
1
,
安達 美佳
1
Yuta Kobayashi
1
,
Mika Adachi
1
1東北大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科/睡眠医療センター
キーワード:
高齢者
,
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
,
持続陽圧呼吸療法(CPAP)
Keyword:
高齢者
,
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
,
持続陽圧呼吸療法(CPAP)
pp.1070-1071
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000746
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加齢で閉塞性睡眠時無呼吸は増加する
加齢とともに閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)の有病率も増加し1),特に後期高齢者における有病率は70%前後と著しく高い2)。加齢によるOSA発症に関与しているとされるのは解剖学的要因(咽頭の物理的狭窄)である。加齢により主に筋緊張低下に起因した咽頭前後径に対する頭尾長の増加,軟口蓋長の増加3)およびその位置での虚脱,喉頭蓋の弛緩・虚脱4)などが進行する。さらに睡眠中は下肢,体幹から頸部への水分移動により,下腿径減少,頸部径増加が生じるが,その移動量は加齢とともに増加し,かつ無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)と相関している5,6)。水分移動量は日中座位で過ごす時間とも相関して増加し,高齢者における閉塞性無呼吸の増加の一因であることが示唆される5)。さらに加齢による総睡眠時間減少,深睡眠減少,中途覚醒増加,レム睡眠減少といった睡眠構築の変化6)や呼吸調節機能の変化7)も加わり,総じて高齢者の睡眠時無呼吸を “治す” のは困難な側面がある。
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