特集 手術をしない音声・構音・言語の治療
音声障害の治療
直接的音声治療―声の異常に対応した音声訓練
金子 真美
1
,
平野 滋
1
Mami Kaneko
1
,
Shigeru Hirano
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
直接的音声治療
,
音声訓練
,
SOVTE
,
flow phonation
,
forward focused voice
Keyword:
直接的音声治療
,
音声訓練
,
SOVTE
,
flow phonation
,
forward focused voice
pp.464-465
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000545
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音声治療の概念
音声治療は,呼吸と発声(声帯振動)・共鳴腔の調整を行うことが重要である。呼吸と発声(声帯振動)・共鳴腔の調整を行い,かつその効果について検証が重ねられている音声治療のひとつにsemi-occluded vocal tract exercises(SOVTE)がある。これは気流を調整し,咽頭腔を広げ,喉頭を下げる作用を有する訓練といわれている1)。その機序は,安定した呼気で口をすぼめて発声することで口腔内圧が上昇し,声門へのback pressureが上昇することで声門上圧が高まる。その結果,咽頭腔がひろがり喉頭が下垂することで,平均声門流量が適正化され声帯振動が促進されると報告されている2)。この時,口唇付近に振動感覚を伴った声,forward focused voiceが産生される。つまり,SOVTEは気流を調整し,咽頭腔を広げ,喉頭を下げることで,声帯振動を促す作用を持つとされている。
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