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はじめに
腎代替療法(renal replacement therapy:RRT)を施行しない医学的管理である保存的腎臓療法(conservative kidney management:CKM)は,RRTが有益でない可能性が高い患者にとって,末期腎不全(end-stage kidney disease:ESKD)に対する適切な治療法となる。RRTは生命予後を延長する可能性をもつ一方で,高齢者や多疾患併存患者においては生活の質(quality of life:QOL)低下や入院リスク増加を伴い,必ずしも最善の選択とは限らない。KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcomes)は2015年に,“supportive care in chronic kidney disease”に関する会議を開催してCKMの重要性を指摘し1),CKMを「計画的,全人的で,患者中心の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)stage 5の患者に対するケアであり,腎臓病の進行を遅らせたり合併症を最小化したりする介入治療を含むが,特に症状の軽減と心理的,社会的,文化的,精神的支援を重視し,透析を含まないもの」と定義している。2026年6月に予定される診療報酬改定で,終末期の末期腎不全患者について緩和ケア病棟の入院料が算定対象に加えられる見通しであるが,緩和ケアの原則に基づくCKMは,症状の改善,患者の価値観や優先順位に沿ったケアの提供,終末期におけるホスピスサービスの利用率向上と関連しており,これらの効果は透析治療群と比較しても認められる2)。患者中心のケアを推奨するCKMに関する指針も示されており3),欧米ではCKMの普及が進んでいる。国際腎臓学会による調査では,154カ国のうち124カ国(81%)でCKMが施行されており,CKMへのアクセスは北米および西欧では良好であったが,アジアでは不良であった4)。特に,日本を含む北東アジアでは,CKMに関して70%以上が「心理的,文化的,および精神的かつ系統的な支援が行われていない」,85%以上が「医療従事者に対しCKMのための系統的な訓練が行われていない」,85%以上が「CKMへの簡単なアクセスが確保されていない」と回答したことが示されており,欧米との格差が浮き彫りになっている5)。

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